Expressif社が、RISC-V MCU、2.4GHzWi-Fi、BluetoothLE 5.0 を 内蔵する ESP32-C3 をサンプル配布開始 !

中国上海に本社を持つEspressif社は、IoT応用に特化したESPシリーズをチップ および モジュールとして自社で設計製造販売している。従前はTensilica社のXtensa CPUを使っていたが、この度、最も多く出荷されている製品の1つであるESP8266を後継する形で、RISC-Vを使ったESP32-C3をボリュームゾーン応用に投入した。ESP32-C3のRISC-Vコアは、最大クロック速度160MHzで動作。 22個の構成可能なGPIO、400 KBの内部RAM、低電力モードのサポートにより、ワイヤレス接続デバイスの多くのユースケースに使える。 外部フラッシュを使える可用性を備える複数のバリエーションがある。高温度動作をサポートすることで、産業および照明などのユースケースに最適としているが、スマートホーム、産業オートメーション、ヘルスケア、家庭用電化製品などの広範な応用にも適用可能である。

チップとして今回発表されたのは、ESP32-C3、ESP32-C3FN4、ESP32-C3FH4の3通り。どれも5mm*5mmのQFN32にパッケージされる。ESP32-C3はフラッシュを内蔵しない、マイナス40 °Cから105°Cの動作温度範囲を持つ。 5mm*5mmのQFN32に4MBのQPIフラッシュも内蔵するマルチダイチップとして、動作温度範囲マイナス40 °Cから85°CのESP32-C3FN4、動作温度範囲マイナス40 °Cから105°CのESP32-C3FN4をオファーしている。

モジュールとして今回発表されたのは、昨年発表された高密度実装型のESP32-C3-MINI-1と、通常実装型(写真)のESP32-C3-WROOM-02の2通り。13.2mm × 16.6mm × 2.4mmの53ピンパッケージを持つESP32-C3-MINI-1は、ボリュームゾーン製品ESP8266のESP-WROOM-02 / 02Dモジュールと周辺機器ピン互換である。18mm × 20mm × 3.2mmの19ピンパッケージを持つESP32-C3-WROOM-02は、汎用Wi-FiおよびBluetoothLEモジュールであり、豊富な周辺セットを備える。今回発表では、内蔵アンテナ版のみが発表されIPEX端子を持つモジュールは無い。

ESP32-C3の特長

Wi-Fi: 最先端の電力性能とRF性能

  • IEEE802.11 b / g / nプロトコルをサポート
  • 2.4GHz帯域で20MHzおよび40MHzの帯域幅をサポート
  • 1T1Rモード、最大150Mbpsのデータレートをサポート
  • ワイヤレスマルチメディア(WMM)
  • フレームアグリゲーション(TX / RX A-MPDU、RX A-MSDU)
  • 即時ブロックACK
  • 断片化と最適化
  • ビーコン自動監視(ハードウェアTSF)
  • 4×仮想Wi-Fiインターフェース
  • インフラストラクチャBSSステーションモード、SoftAPモード、およびステーション+ SoftAPハイブリッドモードを同時にサポート
  • ESP32-C3がステーションモードでスキャンすると、Sof-tAPチャネルが同時に変更されることに注意
  • アンテナダイバーシティ
  • 802.11mc FTM
  • 内蔵アンテナとソフトウェアスタックで完全に無線認定取得予定

ブルーツース

  • Bluetooth Low Energy(Bluetooth LE):Bluetooth 5、ブルートゥースメッシュ
  • 通信速度:125Kbps、500 Kbps、1 Mbps、2Mbpsをサポート
  • ブロードキャスト表示オプション
  • 複数のブロードキャストセット
  • チャネル選択アルゴリズム#2

メモリインタフェース

  • チップ上の400KBのSRAMと384KBのROM
  • フラッシュへの接続を可能にするSPI、デュアルSPI、クアッドSPI、およびQPIインターフェイス

搭載周辺とセンサインターフェース: さまざまな応用シナリオに対応可能な周辺機器インターフェイスとGPIOの豊富なセット

  • 22×GPIOポート
  • 12ビットSAR型 A / Dコンバータ、最大6チャネル
  • 1×温度センサー
  • 3×SPI
  • 2×UART
  • 1×I2C
  • 1×I2S
  • IRトランシーバー、2つの送信チャネルと2つの受信チャネル
  • LED PWMコントローラー、最大6チャンネル
  • USB1.1インターフェース(USBからUARTへのコンバーター、USBからJTAGへのコンバーター)
  • ユニバーサルDMAコントローラー、3つの受信チャネルと3つの送信チャネル
  • 1×TWAITMコントローラ(ISO11898-1 CANと互換)

電力管理:低消費電力にむけた方策

  • 電力管理ユニット
  • 4つの電力セーブモード

セキュリティ機能:暗号化アルゴリズムのハードウェアアクセラレーションサポートによって保証される信頼性の高いセキュリティ機能

  • セーフブート
  • フラッシュメモリ暗号化
  • 4096ビットOTP、最大1792ビットをユーザーが利用可
  • 暗号化ハードウェアアクセラレータ:
    • AES-128 / 256(FIPS PUB 197)
    • アクセス管理
    • ハッシュ(FIPS PUB180-4)
    • RSA
    • 乱数ジェネレーター(RNG)
    • HMAC
    • デジタル署名

Espressif社は、2015年に独自の発想と技術で、ESP32で組込システムに新風を吹き込んだ。従来のMCUより微細なプロセスで消費電力を抑えた。TCP/IPスタックとMCU機能を兼ね備えたWi-Fiモジュールを作りIoT時代の要請に応えた。大きなマスクROMライブラリを備え、ユーザにAPIを準備して多様な無線通信機能を、マスクROM、大容量内蔵RAM、外部大容量フラッシュ、外部大容量PSRAMを使い、自由度高くソフトウエアとローテクなボードで実現できる。このIoT業界に浸透しつつあるモジュールの主力プロダクトでのRISC-V採用は注目に値する。RISC-VのツールチェーンはTensilicaのツールより拡がりがある。通常のMCUより微細な、TSMCプロセス40nmプロセスを使って製造される際に問題となるのはインタフェースである。従来のMCUが多ピン化しパッケージが微細ピッチとなり実装が難しくなったが、ESP32はSPI、QPI系インタフェースを採用することでピン数を減らした。

現在、無償でEspressif社が配布しているワーキングサンプルと最終的に量産する製品チップの間に機能の違いが存在する。大きいのはUSBスレーブ機能である。従来はクロスデバッグをする際に必要なUARTとJTAGとをUSBスレーブを介してPCのUSBホスト機能を使ってつなげるために、FTD社などの外付けチップを必要とした。Espressif社は、ESP32-C3にクロスデバッグ用USB機能もESP32-C3の中に集積しようとしている。去年12月から無償配布しているワーキングサンプルには、USBスレーブデバッグ機能が動作しておらず、現在チップ修正をしていて、その機能が完成するのが2月ごろであるとしている。大方のユーザは、2021年内に、製品用チップとそれをサポートするためのGithubの内容がマチュアになるのは2021年内とみている。

ESP32-C3を使う場合に、もう一つの相違点は、RISC-Vを使っているために、Linux PCとMacで使えるEspressifのツール環境の基盤ソフトが、従来のESP32と異なる。ESP32-C3を使うためには、従来ESP32のツール環境を一回アンインストールして、ESP32-C3のツール環境をインストールする必要があり、2つはホスト上に共存できないと言われている。

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